第38章 福田さんは本気を出した

井上颯人は、福田祐衣の言葉にぐうの音も出なかった。

彼は口を開きかけたが、反論の言葉など何ひとつ見つからないことに気づいた。

突如、彼はテーブルの上の離婚届をひっ掴むと、荒い息を吐きながらビリビリに引き裂いた。

「離婚なんて、絶対に認めないからな!」

無能な男が癇癪を起こす醜態を、福田祐衣は氷のように冷ややかな眼差しで見下ろした。

「ご自由に。協議離婚に応じないなら、裁判で決着をつけるだけよ」

「どちらにせよ、最後に地位を失って破滅するのは私じゃないわ」

そう言い捨てると、福田祐衣は踵を返し、この薄汚れた家から出て行くための荷造りをしに二階へ上がった。

かつて、この家は井上颯...

ログインして続きを読む